Auto-ID Lab. Japan

在室センシングによる照明の無駄の定量化

SFCに限らずオフィスビルでは、照明が総消費電力の約1/3を占めています。不在時の無駄な照明を消すことで電力を節約することができます。不在・在室を確認する手法は多くありますが、本研究ではできるだけ既設・安価なセンサを使うことと、プライバシ保護のため人を特定しないで在室・不在を検出するために、焦電センサとよばれる人体から放出される赤外線の変化を検知するセンサを複数用いています。一部屋あたり2つから4つ設置した焦電センサを無線マルチホップネットワークで接続し、IPネットワークを通じてデータベースに個々のセンサデータを集めます。焦電センサは、人の動きによる赤外線の変化量を検出しているので在室時でも不在と判断してしまうことがあります。そこで、集めたデータを後処理することで、正しく在室・不在状況を得る方法について研究しています。焦電センサが不在を表している状態にも、人が存在している”可能性”を考慮し、長期間に渡るデータの整合性を検証することで、在室・不在の状態遷移を確定します。照明の点灯・消灯状態は照度センサを用いると正確に検知することができますので、この2種類のセンサの組み合わせで無駄な照明がどのくらいあるのかを知ることができます。このシステムを現在大学内のコンピュータ室(特別教室)で稼働させています。

技術的仕組み

人感センサー(焦電センサーおよび無線タイプ)と照度センサーによって在室と照度を取得し、ZigBeeという低消費電力のマルチホップ無線ネットワークを使ってデータを集約した後、インターネットを通じてデータベースにデータを蓄積しています。蓄積したデータを分析することにより無駄な照明時間を計算します。このシステムは様々なアプリケーションに使えるように、センサーの設定や、データを送信する時間間隔、データの送付先を指定することができます。現在、特別教室のセンシングに加えて、家電製品の遠隔監視や遠隔制御、オフィスサプライの残量検知などにも応用されています。同じ仕組みを複数のアプリケーションで使うことができるため、システムの構築コスト、構築期間を短くすることができます。

システム構成↓クリックして拡大
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ライブデータ

工夫したポイント

今回用いた焦度センサは人体から出る赤外線の変化によって人の存在を検知します。個人を特定することは原理としてできないので、プライバシ保護の観点で優れてると同時に、トイレなどででよく使われているためコストも安価です。しかし、検知範囲が限定されていること、検知範囲にいたとしてもコンピュータプログラム中など長期間静止している場合に、在室しているにもかかわらずその時点の焦電センサの情報だけでは在室が正確に把握できないことがあります。この問題を解決するために、我々は複数の焦電センサデータを時系列データとして処理することで、在室判断を高精度化する方法を開発しました。この方法では、在室状況を4つの状態(state)を持つ状態マシンと考え、その時間遷移から不合理なパスを削除するものです。パスの尤度(確からしさ)はパーティクルフィルタを用いて判断しています。

状態遷移↓クリックして拡大
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この技術の妥当性は、実験によって評価しています。点灯かつ不在から入室し、消灯して退出、別の入室というパスを開発した方法で分析してみると、各ステートに遷移している”確率”を計算できていることがわかります。

実験結果↓クリックして拡大
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従来、焦電センサーを使った在室検知では、在室を誤って不在と判断してしまうことが多くなりがちですが、本手法を使うと適切に在室・不在を判断することができます。

実験結果↓クリックして拡大
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結果

これにより、測定した期間(H23年11月)の特別教室では一日あたり平均3時間程度の消灯忘れがあったことがわかっています。

特別教室の無駄点灯の変化↓クリックして拡大
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