Auto-IDの研究領域は多岐にわたっています。ここでは各研究の概要を紹介していきます。
- RFID(Radio Frequency IDentification)
- RFIDは近年、バーコードに代わる自動認識技術として注目されています。RFIDは、読み取り機から放出された電波に対して対象となるモノに貼付されたRFタグが自身に書き込まれているユニークなIDを返し、この応答を読み取り機で受け取ることにより、個々のモノの自動認識を可能にしています。
- WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)
- 都市部や郊外、山間部などの中規模エリアに対して、無線ブロードバンドアクセスを提供する規格である。2011年現在、UQコミュニケーションズ株式会社では下り最大40Mbps、上り10Mbpsの商用の通信サービスを提供している。
- ZigBee
- 低消費電力、マルチホップかつアドホックなネットワークを構成できる通信技術であり、家電向けの短距離無線通信規格の一つです。ZigBeeはZigBee Allianceにより仕様化され標準規格となっています。ZigBeeはその物理通信とメディアアクセスにIEEE 802.15.4を利用します。
複数RFタグの挙動をエミュレーションする効率的なアルゴリズム
従来のリーダ/ライタの読み取り速度の性能評価は複数のRFタグを1枚1枚並べて読み取ることで行われているため、多大な手間と時間が必要であるという問題があります。また、リーダ/ライタごとに読み取りの終了条件が異なったり、そもそも終了条件を設けていないリーダ/ライタも存在するため、共通の基準で評価することが難しいという問題もあります。これらの問題を解決するために、複数のRFタグのプロトコル動作を1台のハードウェア機器でエミュレーションする手法を考案しました。この際、確率論を応用した効率的なアルゴリズムの考案と最適な実装方法の考案により、他分野で用いられているエミュレーション手法を応用しただけでは2個のRFタグのエミュレーションも不可能なハードウェアの性能で、5460個のRFタグのエミュレーションを可能としました。また、電波伝搬環境やRFタグの特性、RFタグの配置方法等によって変化する、キャプチャ効果と呼ばれる複数のRFタグのアクセス要求が衝突しても電力差によりアクセスが成功する現象の影響度をアルゴリズムに組み込みました。この研究により、計算能力が乏しいハードウェアを用いても、リーダ/ライタの読み取り速度を共通の基準で簡単に評価することが可能になります。(kamiya)

在宅療養患者と医療者をつなぐ双方向服薬支援システム
住み慣れた自宅にて治療を継続する在宅療養は、多くの患者が希望している一方で、患者の疾病自己管理能力が求められるため、療養生活の実現・継続が難しい医療形態です。
本研究では在宅療養患者の服薬事情に着目しています。患者の治療には、正確な服薬が欠かせません。しかし、在宅療養において患者の自己管理が求められる服薬は、飲み過ぎ・飲み忘れ・飲み間違い等々の事故が日常的に生じています。そこで、患者が日々の服薬時に使用していた薬箱に小型のホールセンサとセンサーネットワークを取り付け、薬箱の開閉データを遠隔にてモニタリングできる仕組みを構築しました。患者の在宅療養を支援する訪問看護師が、携帯電話やパソコンを用いて、患者宅の薬箱の開閉データを簡易に閲覧できるようにしました。医師の処方通りの薬箱開閉データが検知された場合、看護師は患者宅に設置されたデジタルフォトフレームに日々の服薬状況をメッセージや写真付きで送信し、患者のフィードバックへつなげます。一方、薬箱の開閉データが医師の処方通りにサーバー挙らない場合は、看護師に緊急メッセージが自動的に送信されます。このように、服薬に関する双方向のコミュニケーションを実現するシステムにより、患者の服薬支援を試みる研究を行っています。
開発システムの効果測定のために、3名の在宅療養患者に協力いただき、5ヶ月間の実証実験を実施しました。その結果、在宅療養患者の服薬状況の正確な把握、患者に対する訪問看護師の緊急対応の削減、在宅療養患者の服薬状況の視覚的な分析を実現し、最大で患者の服薬忘れ率を約3割減少するという効果を得ました。(shiori)

センサーネットワーク等の低信頼ネットワーク上におけるデータ通信の効率化
今日センサーネットワーク技術とWebシステム状のREST型interfaceを用いて様々な物やセンサーをネットワークに接続するという試みが多数なされています。しかし、ZigBee等の低信頼短距離無線ネットワーク技術などを用いてセンサーネットワーク上にIP通信網を構築し情報の送受信を行う場合、Ethernet上で日常的に利用されているWebシステムのような通信と同様の仕組みを用いると、冗長な通信シーケンスやパケットサイズが肥大化していること等によりパケットの断片化やパケットロスが増加し、通信プロトコル上で定義されたデータの再送信が多数発生します。結果、センサーネットワーク帯域の輻輳が発生し、通信の信頼性がさらに低下してしまいます。本研究では通信プロトコルをセンサーネットワークに特化した効率的な通信プロトコルを用いると同時に、センサーネットワークが仕様として持つ特性と組み合わせ、高速で信頼性がある効率的な通信の仕組みを構築すると共にその可用性について研究しています。(hizumi)
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ZigBee ノードの自動較正測位手法
この研究では、ZigBeeを用いた屋内測位システムの精度向上を目指しています。位置測定の方法には、電波の受信信号強度(RSSI)を用いています。測位対象のノード(Blind Node)が発する電波を、位置の基準点となるノード(Reference Node)が受信し、その信号のRSSI からノード間の距離を算出します。Blind Node は複数のReference Node と通信をして、自身の位置座標を求めます。
既存のZigBee測位システムでは、電波の伝搬環境によって測位精度が著しく悪化する点や、測位計算に用いるパラメータを手動で設定する必要がある点など様々な課題があります。
本研究では、測位計算式の変更やアルゴリズムの改良などに対応するため、ZigBeeの測位システムをソフトウェア化し、柔軟性のある測位システムの構築を目指しています。また、Reference Nodeが周囲の電波伝搬状況を認識し、RSSI の値から距離を算出する計算式を自動較正する手法を提案しています。(hiroishi)
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RFIDを用いた実空間オブジェクトへのサービスディスカバリ
実空間に存在するモノと、デジタル情報をいかに紐付けするかについて研究しています。実空間に存在するモノには、サイバー空間に存在するモノとは全く違う特徴があります。それは、人々が心に抱く、モノにまつわる様々な記憶です。記憶とは、過去に関する情報です。RFID技術を用いることで、その実空間に存在するモノと、記憶の紐付けすることを目指しています。特に香りにまつわる記憶に注目しており、香水を使っていたときに撮影した写真や音楽といった情報を提示するシステムを構築しています。これらを実現するために、個々人がモノにRFIDを添付することができる仕組みを提案し、また、実空間に存在するモノにどういった思い出サービスが紐付いているか知ることのできるサービスディスカバリについて研究しています。(cst)
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不安定な無線環境における実空間コンテキストに応じた移動デジタルサイネージシステム
電車やバス、タクシーといった移動体へのデジタルサイネージを用いた広告配信において、位置情報と時間から特定されるコンテキストに応じてコンテンツを表示することは、閲覧者に密接な情報を提供できるため有用です。しかし従来は、蓄積したコンテンツをコンテキストに応じて表示するだけで,コンテンツ自体を動的に配信することはあまり行われていません。刻々と変化する位置情報に応じてコンテンツを移動体に配信する際に不安定な無線環境が配信の妨げになるためです。この研究では不安定な無線環境でのコンテキストに応じたコンテンツを配信する移動デジタルサイネージシステムを提案します。提案システムは通信品質に応じてコンテンツの取得・中断の制御を行いコンテンツの取得効率の向上を行うことと表示部とは非同期に位置情報と時間に応じてコンテンツの選択・取得を行い不安定な無線区域で即時性を持ったコンテンツの取得表示ができることを特徴としています。(ema)
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RFタググループ符号化
RFIDでは個々のタグに割り当てられたユニークなIDを元にしてモノの自動認識/識別を行います。しかし現実のモノは個々に存在するだけでなく、しばしばグループを形成します。「箱に詰められた荷物」や「鞄の中身」などはモノのグループの例といえるでしょう。このような「モノのグループ」をRFIDを用いて識別(グループからのモノの欠落の検知/欠落したものの特定など)する場合、通常は個々のモノをそれぞれのIDから識別し、その上で外部のデータベース等に用意されているグループのモノのリストを照会する形が一般的です。これに対し本研究では、RFIDの「書き込み可能」という特性と、通信の世界で用いられる「符号化」という考え方を合わせることで、データベース等を用いずにオフラインの状態でもこの「グループの識別」を行う手法を検討しています。
本研究では、グループを識別するための符号化の理論の考案から実際のRFID機器を用いた実装、関連する実験に必要な装置/プログラムの開発等、理論から実装まで幅広く扱います。(sat3)

WiMAXマルチキャストの集中型性能測定システム
スマートフォンやモバイルPCの普及により、近年、電波帯域利用の効率化が望まれており、Mobile WiMAXでは複数の受信ノードに対して同報的にデータを送信するために、 WiMAX MCBCSという無線レイヤでのマルチキャスト技術が導入されました。この研究では、WiMAX区間でのIPパケット転送特性、ジッタやパケットロス傾向などIPレイヤの状態や、通信中のRSSI値やCINR値などWiMAXレイヤの状態を、複数受信端末が存在するマルチキャスト通信でも同時計測し、計測結果を集中的に管理できるシステムの設計と開発を行いました。(nojima)
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仮想ZigBeeルータを用いた地理透過・周波数チャネル透過なPANセグメンテーション
「マルチホップ環境下での無線チャンネルの輻輳」及び「PAN 内通信の最大距離の地理的制約」という無線センサーネットワークの原理的な2つの問題があります。解決策として、データリンク層におけるフレーム(IEEE802.15.4 データ) をIPネットワークを介して遠隔地に配送できるZigBee プロトコルトンネルを提唱・実装しました。また実装した機能の実証実験及び、性能の定量的評価を行うための無線NWスループット測定実験を行いました。実験の結果、一つのローカルなセンサーネットワークを全く異なる周波数チャネルで稼働する2 つのセグメントに分割し、さらに従来よりも36%スループット向上できることを示しました。(mel)













